研究の背景: 睡眠不足の医師が処方した鎮痛剤の容量に着目 今回は、Proceedings of the National Academy of Sciences, USA(PNAS)に、「長時間の夜勤が、医師の鎮痛薬処方行動に及ぼす影響」に関する興味深い論文が掲載されたので紹介したい。 Physicians prescribe fewer analgesics during night shifts than day shifts(Proc Natl Acad Sci U S A. 2022; 119: e2200047119) この研究は、イスラエル・Hebrew University of JerusalemのShoham Choshen-Hillel氏を筆頭研究者として、同大学の医学・経営学・心理学の専門家から成る学術チームによって実施された。夜勤による医師の疲労やストレスは、患者が感じている痛みに対する共感性の低下を引き起こし、鎮痛薬の処方が不十分になるのではないか?という仮説を検証したものである。 そもそも痛みは主観的な現象であり、その評価には潜在的なバイアスが入り込む余地がある。果たして、夜勤による医師の疲労やストレスは、痛みを訴える患者に対する鎮痛薬処方に影響を及ぼしうるのだろうか。