精神疾患にもケトン食は有効? 第一歩の研究

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研究の背景:難治性てんかんの治療としては定着

 100年前から、難治性てんかんに対するケトン食の有効性が指摘されてきた。炭水化物の摂取を極端に減らし、脂質を中心に摂取することでケトン体の生成を促進させ、脳のエネルギー源をグルコースからケトン体に変えることにより、抗てんかん作用を発揮するというのである。その後、多くの研究が行われ、作用メカニズムは明らかではないものの、難治性てんかんに対する治療の選択肢の1つとして定着している。さらに、ランダム化比較試験(RCT)によりケトン食が肥満にも有効と報告されている(Ann Intern Med 2004; 140: 769-777)。

 「高脂肪食は健康に悪い」という考えが一般的であるが、コホート研究により炭水化物の摂取が死亡率上昇と関連し、脂質の摂取が死亡率低下と関連しているという常識と異なる結果が見いだされた (Lancet 2017; 390: 2050-2062)。議論はあるものの、「高脂肪食は不健康」という考えに一石を投じた。

 さて、双極性障害では抗てんかん薬が有効であること、双極性障害にミトコンドリア機能障害が関与しているという仮説があることなどから、ケトン食は難治性の双極性障害などの精神疾患にも有効なのではないか、との仮説が現れた。

 本研究は、治療抵抗性の双極性障害、統合失調感情障害、うつ病に対し、ケトン食治療を行った患者の後ろ向き解析結果を報告したものである(Front Psychiatry 2022; 13: 951376)。

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