「シックデイは主治医に丸投げ」の終焉 修正デルファイ法による合意形成 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 研究の背景:シックデイ・ルールの基本は「主治医と相談してください」 糖尿病の治療中、かぜなどの感染症を契機に食事が摂取できなくなった際、薬剤を休止するかどうかは、感染症に伴う高血糖を防ぎつつも薬剤による低血糖をも防がねばならないという点で大きな問題である。このような病気の日の(かつ、経口摂取が不安定になった際に)薬剤の服用をどうするかは、シックデイ・ルールと呼ばれている。 日本糖尿病学会の『糖尿病治療ガイド2022-2023』では、「シックデイ対応の原則」の冒頭(p100)に「シックデイのときには主治医に連絡し指示を受けるようにする」と記されている。しかし、例えば年末年始で帰省している最中に、かかりつけの患者からシックデイだが薬をどうしたらよいかとの連絡を受けても、カルテがない状況でどんな薬剤を内服・注射しているかを患者が説明できないような場合に、適切な指示などできるわけもない。 同ガイドではこの記述の後で、①インスリン注射については中断してはならない、②ビグアナイドとSGLT2阻害薬は中止する、③SU薬やグリニド薬は食事の摂取状況に応じて中止、減量を判断する(山田註:主語がないので、判断する主体が患者なのか主治医なのかは不明瞭)、④脱水を防ぐ―といった記載があるが、食事の摂取状況に応じてどのように中止、減量を判断するかの記述はない。 また、『高齢者糖尿病治療ガイド2021』では、「シックデイの際の薬物の調整方法についてあらかじめ患者本人と介護者に十分説明する」とか「薬物の減量・中止について、患者および介護者と話し合っておく」というような記述がなされている。 実際問題としては、私自身はインスリン注射は(全く食べられなくても)半分量にして注射する〔ベーサル・ボーラス療法の場合には、ベーサルインスリン(持効型溶解インスリン)は通常通りに注射し、ボーラスインスリン(超速効型インスリン)は中止する〕、食欲低下作用があるGLP-1受容体作動薬は中止する、経口薬も中止する、といったアバウトな説明をすることが多い。 そんな中、カナダの研究者を中心としたグループが、シックデイ・ルールについてのコンセンサスガイドをAm J Kidney Dis誌に発表した(Am J Kidney Dis 2022年12月2日オンライン版)。自分自身が患者に指導してきたシックデイ・ルールの妥当性に不安を持っていた私としては、大変に興味のあるところである。そして、それは多くの実地医家の先生方にとっても同様だと思い、ご紹介したい。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×