肺MAC症に有用な知られざる検査

MAC抗体は使える!

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研究の背景:結核を凌駕した非結核性抗酸菌症、最多菌種がMAC

 非結核性抗酸菌(NTM)症、特に肺NTM症は増加の一途をたどっている。届け出が行われない感染症であり疫学調査は困難を極めるが、2014年の時点で既に結核の罹患率を上回っていることが示されている。厚生労働省の人口動態統計によると、NTM症による死亡者数も2020年に結核のそれを逆転したことが明らかとなっている(図1)。

図1. 結核およびNTM症による死亡者数の推移

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(厚生労働省人口動態調査/人口動態統計確定数死亡、2006〜21年)

 肺NTM症の原因となる最多菌種は、Mycobacterium avium complex(MAC)である。喀痰検査にて診断するのが一般的であるが、意外と知られていない検査としてMAC抗体がある。

 保険診療の範囲内で、MACの細胞壁を構成する糖脂質抗原に対するIgA抗体が測定できる。カットオフ値0.7U/mLで感度69.6%、特異度90.6%である(Sci Rep 2016; 6: 29325)。ただし、確定診断には基本的に微生物学的な検出が必須であり、抗体検査のみで確定診断とすることは控えるべきであろう。

 さて、このMAC抗体検査を実臨床でどのように適用すればよいか検証した報告があるので紹介したい(Infect Drug Resist 2023; 16: 977-984)。

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