COVID-19は認知機能障害を引き起こすか

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研究の背景:脳MRI研究で認知機能低下の実体が確認

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックが始まってから、4年が過ぎた。5類感染症への移行後も、病院における感染対策の状況は大きく変わっていないが、世間ではマスクをしない場面が増えている。

 COVID-19制圧が近づく今、問題となるのは、Long COVIDあるいはブレインフォグなどと呼ばれる、COVID-19の後遺症である。

 倦怠感、集中力低下といった症状はつかみどころがなく、本当に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染と関係しているのかの判断は難しかったが、UK Biobankの785人を対象に2回の脳MRI撮像を行った研究で、SARS-CoV-2感染者では、認知機能が低下しているのみならず、全脳の大きさの減少、眼窩前頭皮質と海馬傍回における灰白質の厚さの減少、一次嗅覚皮質と機能的に結合している領域における白質の変化などが検出され(Nature 2022; 604: 697-707)、Long COVIDが実体あるものとして浮かび上がってきた。

 今回、COVID-19が認知機能障害を引き起こすかどうかについて、より大きな地域住民サンプルにおいて行われた研究が、New England Journal of Medicine誌に掲載された(N Engl J Med 2024; 390: 806-818)。

加藤 忠史(かとう ただふみ) 

 順天堂大学精神医学講座主任教授。1988年東京大学医学部卒業、同病院で臨床研修、1989年滋賀医大精神医科大学講座助手、1994年同大学で医学博士取得、1995年米・アイオワ大学精神科に留学(10カ月間)。帰国後、1997年東京大学精神神経科助手、1999年同講師、2001年理化学研究所脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チームリーダー、2019年理化学研究所脳神経科学研究センター副センター長を経て、2020年4月から現職。

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