SGLT2阻害薬は心筋梗塞後の患者の予後を変えるか②

EMPACT-MI試験

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研究の背景:DAPA-MI試験では心血管死亡および心不全入院でプラセボと差がつかず

 さて、前回はDAPA-MI試験(NEJM Evid 2024; 3: EVIDoa2300286)の結果について報告したが、今回はその続報ともいうべきものとなるEMPACT-MI試験(N Engl J Med 2024; 390: 1455-1466)についてである。前回概説したように、DAPA-MI試験では、心筋梗塞で入院し、左室駆出率(LVEF)が低下しているものの既知の2型糖尿病や心不全がない患者4,017例をダパグリフロジン10mg群もしくはプラセボ群にランダムに割り付け、8週後と12カ月後にフォローした。主要評価項目として設定されたwin-ratioを構成するイベントの中で、重要度が高い心血管死亡および心不全入院に関しては2.5%と2.6%と差を認めず、この"win"の差に関しては新規の2型糖尿病の発症と、体重5%以上の減少がダパグリフロジン群に多かったため差がついたという結果であった(詳細は関連記事「SGLT2阻害薬は心筋梗塞後の患者の予後を変えるか①」)。

末永 祐哉(まつえ ゆうや)

順天堂大学循環器内科学講座准教授。2005年鹿児島大学医学部卒業、その後亀田総合病院で初期研修医から循環器内科後期研修医、医長となるまで10年勤務し、2014年から18年までオランダ・フローニンゲン大学循環器内科でリサーチフェローとして心不全に関する臨床研究を行う。帰国した後は現職で心不全・心筋症の臨床および臨床研究に従事している。U-40心不全ネットワーク創立メンバー。

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