肺高血圧症の長期酸素療法で世界初の疫学研究
研究の背景:未診断例が多い肺高血圧症
社会の高齢化に伴う慢性呼吸器疾患・心疾患の増加を背景として、肺高血圧症(PH)の患者数も増えている。ただ、心エコーの閾値が高いだけでなく、右心カテーテルは限られた患者しか受けていない現状があることから、他の慢性疾患よりも未診断例が多いと考えられる。
それ故、PHにおける長期酸素療法(LTOT)適用者の頻度に関する疫学データは不足しており、またPHのサブタイプによってこの頻度が異なるかどうかも不明だ。
今回紹介する研究(Respirology 2024年8月29日オンライン版)は、スペイン肺動脈性肺高血圧症登録(REHAP)のデータを用いて、成人PH患者におけるLTOTの適用率と新規処方率を評価し、どういった症例が慢性呼吸不全になりやすいかを予測するために計画された世界初といえる疫学研究である。REHAPは、1998年1月1日以降、スペインの31施設から報告された14歳以上のPHを網羅的に登録したコホートである。
現在PHは、1群:肺動脈性肺高血圧症(PAH)、2群:左心疾患によるPH、3群:肺疾患および/または低酸素に関連するPH、4群:肺動脈閉塞によるPH、5群:詳細不明や複合的要因によるPH―に分類されている(Eur Heart J 2022; 43: 3618-3731)。
今回の研究で対象となったのは、1群のPAHと4群の慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)である。PAHは、肺動脈壁のリモデリングと血管内腔狭窄によって肺動脈圧が上昇することが病態であり、CTEPHは深部静脈血栓症に続発する慢性の肺血栓塞栓症によってじわじわと進行するPHである。特にCTEPHは、疾患概念が啓発されて、プライマリ・ケアでもよく知られる疾患となっている。
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倉原 優 (くらはら ゆう)
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年から現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』、『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。









