〔NEJM総説〕現代の急性腹症

付けたり:虫垂炎初めての執刀、Tea or Coffee?、Sirの語源、虫垂炎の症状出現順序、戦前の徹底的所見取り、腹部CT読影順序、放射線科医のいる安心感、ミッドウェイ海戦、生き残り、意思決定時6つの戦略、Fishbone diagramは日本発、Cope急性腹症要点!

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 N Engl J Med2024 July 4; 391: 60-67)に「現代の急性腹症」と題してシカゴ大学外科の医師たちの総説(review article)があり非常に興味深く読みました。

 1921年に英国のVincent Zachary Copeは「Early Diagnosis of the Acute Abdomen」を著し既に100年以上になりますが、いまだに急性腹症のパール満載のバイブルとして読み継がれています。医学書で100年以上ベストセラーの本なんて小生、これ以外知りません。Copeは小生、研修医の時に通読し、そのゾクゾクするような面白さに大興奮でした。

 本日のこの総説の著者によると「Copeの著書はいまだに急性腹症の中心公理(central tenet)である」というのです。まるでDNA二重らせんのcentral dogmaみたいです。そして本日の総説が「このCopeの偉大な公理にさらに付加価値を追加したい」というのには嬉しくなりました

 N Engl J Med2024 July 4; 391: 60-67)総説「現代の急性腹症」最重要点は下記6点です。

  1. 腹痛は徹底的病歴聴取と身体所見を!虫垂炎症状はAP(P)E・TFCの順序
  2. 急性腹症は造影CTが第1選択。単純CTは訴訟につながる。腹部CT読影順序
  3. 診断前に鎮痛剤投与を強く推奨。投与は診断、外科コンサルト、治療計画に影響しない
  4. 即座の外科コンサルト、介入にあらゆる手を打て
  5. 生命の危険がある時の決断では認知バイアスにより誤診する診断は慎重に
  6. Cope要点:潰瘍穿孔、膵炎、胆嚢嚢炎、大腸憩室炎、急性腸閉塞、外妊の所見・特徴
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