【2025年医学はこうなる】越智小枝
東京慈恵会医科大学臨床検査医学講座教授

【私が選んだ医学2024年の3大ニュース】
1.医師の働き方改革施行
4月から施行された医師の働き方改革関連制度は、長時間労働と過労が常態化していた医療現場にメスを入れた点で歓迎すべきである。しかし導入後に医師の研究時間を確保できるかどうかには疑問が残る。この制度には「現場の医師は同時に他医師の労働に責任を持つ管理職でもある」という視点が欠けているからだ。
本来研修医と同様に保護されるべき指導医が、業務が減らないままに「部下を働かせ過ぎる責任」を押し付けられ、精神的に追い詰められている状況をしばしば目にする。外勤時間も労働時間に含められるため、お金にならない当直を断る医師も出てきており、そのしわ寄せもまた「管理職」に及んでいる。
郵便料金や消費税の上がり幅に診療報酬が全く対応できない中、「コロナ赤字は自己責任」と経営努力が求められる。客観的に見ても「医学研究?それおいしいの?」と言いたくなるような状況だ。
もちろん新しい制度にひずみはつきものであり、安易に苦情を言うべきではない。しかし「患者の命」を盾に24時間対応サービスを期待されつつ、一方では「過労死」を引き合いに部下に働かせることを禁じられる中間管理職医師たちが幸せになる未来は、もう少し遠いことのようだ。
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