【2025年医学はこうなる】溝口博重 株式会社AMI&I代表取締役/NPO法人医桜代表理事 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 【私が選んだ医学2024年の3大ニュース】 1. 普通のかぜが5類感染症に:定点把握がスタート 2024年10月、厚生労働省は2025年4月7日から一般的なかぜ症状を含む「急性呼吸器感染症(ARI)」を新たに感染症法上の5類感染症に指定し、定点把握を実施することを決定した。この取り組みは、欧州疾病対策センター(ECDC)や米疾病対策センター(CDC)が行っているインフルエンザ様疾患(ILI)およびARIの監視を参考にしており、感染症の流行状況をより的確に把握することを目指したものである。 全数把握ではなく定点把握を採用したため、全国の医療機関が報告義務を負うわけではなく、報告は指定された定点医療機関のみが行うが、負担増は避けられず、現場からは懸念の声も上がっている。一方、受診には基本的に影響はなく、通学や出勤に関しても現行の制度に大きな変更はない。 それでもかぜが「感染症」として公的に位置付けられることで、国民の受診行動に変化が出る可能性はある。例えば、症状が軽くても市販薬での対応ではなく受診を選ぶ人が増加することが予想され、高齢者や基礎疾患のある人々だけでなく、不安を抱く人が過剰に医療機関を利用する事態も懸念される。欧米ではかぜでの受診を奨励しない方針が一般的であり、日本のこの施策はむしろ逆行しているように見える。 感染症の「見える化」という目的は評価されるべきだが、十分な説明が不足しているため、パブリックコメントでは批判的な意見が目立っている。この制度が国民にどのようなメリットをもたらすかという視点に乏しく、昨今の医療政策/医療行政の在り方を象徴するとの印象を受けた。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×