【2025年医学はこうなる】山本 駿 国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科/消化管内科 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 【私が選んだ医学2024年の3大ニュース】 近年、消化器がんに対する薬物療法の開発は日進月歩である。特にニボルマブやペムブロリズマブなどに代表される免疫チェックポイント阻害薬に関する大規模研究は、進行期の消化器がん全般で数多く行われ、食道がんのCheckMate 648試験、胃がんのKEYNOTE-811試験、大腸がんのCheckMate 8HW試験などが報告されている。また、胃がんではファーストインクラスである抗CLDN18.2抗体ゾルベツキシマブの有効性と安全性を検証したSPOTLIGHT試験やGLOW試験が報告され、同薬は現在実臨床で使用可能となっている。 2024年は免疫チェックポイント阻害薬に加え、希少がんの初回治療や食道腺がんに対する周術期治療でも目覚ましい報告があり、1年の振り返りもかねて共有する。 第3位. MSI-high/dMMRを有する進行大腸がんの一次治療でニボイピ併用が著効 1つ目は、米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO-GI 2024)で報告された高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-high)/ミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有する切除不能進行・再発大腸がんの一次治療におけるニボルマブ+イピリムマブ併用療法またはニボルマブ単剤療法を標準的な化学療法と比較したCheckMate 8HW試験である(N Engl J Med 2024; 391: 2014-2026)。これまでMSI-high/dMMRを有する固形がんに対しては免疫チェックポイント阻害薬の有効性が報告されており、大腸がんを対象とするNICHE-2試験などの周術期治療において高い有効性が示されたことなどから、現在は臓器温存も視野に入れた治療戦略も検討されている。 MSI-high/dMMRを有する切除不能進行・再発大腸がんに対しては一次治療でペムブロリズマブ、二次治療でニボルマブやニボルマブ+イピリムマブ併用療法が保険診療下で使用可能だが、CheckMate 142試験でニボルマブ+イピリムマブ併用療法の高い奏効率が報告されており、一次治療における検討が待たれていた。 CheckMate 8HW試験では303例が登録され、ニボルマブ+イピリムマブ併用群に202例、化学療法群に101例が割り付けられた。追跡期間中央値31.5カ月時における24カ月無増悪生存(PFS)は、ニボルマブ+イピリムマブ併用群が72%、化学療法群が14%と、ニボルマブ+イピリムマブ併用群の優越性が証明された(P<0.001)。なおgrade 3〜4の治療関連有害事象はニボルマブ+イピリムマブ併用群が23%、化学療法群が48%だった。 同試験でニボルマブ単剤療法群の結果は報告されていないが、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法の驚異的な治療成績から、MSI-high/dMMRを有する進行大腸がんの一次治療としてニボルマブ+イピリムマブ併用療法は確固たる地位を築いたといえる。ただし免疫関連有害事象には注意が必要であり、grade 3〜4の副腎不全が3%、肝酵素上昇が2%などと報告されていることから、外来診療時にホルモンや血糖値なども含めた検査が必要である。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×