〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。1月6日~12日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは、Ann Intern Medに掲出された「透析患者へのデノスマブの安全性」(Ann Intern Med 2025年1月7日オンライン版)。同氏のXでこの論文を紹介したところ、反応が飛び抜けて高かったという。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。 経口BP製剤と骨折リスク、CVイベントリスクを比較 透析患者に対する骨粗鬆症治療薬デノスマブ使用は、重篤有害事象として「低カルシウム血症」がよく知られている。しかし、これに加えて「心血管(CV)イベント」リスク上昇にも注意が必要なようだ。京都大学の桝田崇一郎氏らがAnn Intern Med 2025年1月7日オンライン版で報告した。 今回同氏らが実施したのは、観察研究データを活用してランダム化比較試験類似の比較を試みる「標的試験模倣」研究である。今回は電子レセプトデータが用いられた。 対象は、骨粗鬆症と診断され、新規にデノスマブか経口ビスホスホネート(BP)製剤を開始した、50歳以上の透析患者1,032例である(デノスマブ群658例、経口BP製剤群374例)。ただし直近90日間に心筋梗塞や脳卒中、心不全による入院歴のあった例は除外されている。 それぞれの薬剤開始日を観察開始時とし、両群の背景因子の相違を傾向スコア「逆確率重み付け法」(IPTW)で補正の上、両群の「全骨折」リスクと「CVイベント」リスクを比較した。