メトホルミンを凌駕? GLP-1 RAのがん予防効果

昨年発表された米韓5論文を吟味

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研究の背景:日本人糖尿病患者の死因の1位は悪性腫瘍

 日本人糖尿病患者の死因の1位は(糖尿病患者でなくてもそうではあるが)悪性腫瘍である(糖尿病 2024; 67: 106-128)。糖尿病治療の目的は、たんに血糖値を改善することではなく、合併症の予防を介して、糖尿病ではない人と同等の寿命とQOLを確保することにあるとされている(『糖尿病治療ガイド』2022-2023, p31、図6)。そうであれば、糖尿病治療薬の投与によって、合併症予防のみならず、悪性腫瘍の予防もできることが望ましいことになる。

 心腎合併症予防(Cardiorenal risk reduction)に有用な薬剤として米国糖尿病学会(ADA)・欧州糖尿病学会(EASD)が挙げているのが、あるいはadditional benefitsのある薬剤として日本糖尿病学会が挙げているのがGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)とSGLT2阻害薬である(Diabetes Care 2022; 45: 2753-2786糖尿病 2023; 66: 715-733)。

 昨年(2024年)は、これらの2つの薬剤がcardiorenal risk reduction以外にも多面的な効果を持つことを示した論文をいくつかご紹介したが(関連記事「GLP-1受容体作動薬がパーキンソン病治療薬に?!」「SGLT2阻害薬は超高齢社会向けの薬剤」)、2025年の初回もその一環として、悪性腫瘍に対するGLP-1 RAの影響について、昨年発表された米国と韓国の研究(5論文)を吟味したい。読者の先生方の糖尿病治療薬を選択する際の一助になれば幸いである。

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