灯台下暗し? EF低下心不全例の「脳卒中」

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ
〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。3月10~16日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「HFrEFにおける脳卒中」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。

解析対象RCTの84%で脳卒中は報告されず

 左室駆出率(EF)が低下した心不全(HFrEF)を対象にしたランダム化比較試験(RCT)では、臨床転帰として「心血管(CV)死亡」や「心不全)入院/増悪」を評価するものが多い。しかしHFrEF例ではそれに加え、「脳卒中」リスクの上昇も観察研究からは示唆されている(Stroke 2009; 40: 3706-3710)。

 そこでその実態を探るべく、イタリア・University of TurinのGuglielmo Gallone氏らは、HFrEF対象のRCTでメタ解析を実施した。脳卒中の発生率は1%/年強。そしてHFrEFへの標準治療は脳卒中リスクを低減していなかった。3月12日、JACC Heart Failで報告した。

 解析対象となったのは、安定HFrEFを300例以上登録したRCT 188報中、「脳卒中」発生率が報告されていた30報である(患者総数7万5,327例。観察期間中央値2年)。

 言い換えれば188報の84%に当たる158報では、脳卒中は報告されていなかった。また、脳卒中が報告されていた30報でも14報は、脳卒中の「定義」が記されていなかった。

 このようにHFrEF対象試験で脳卒中が軽視されてきた実情を、Gallone氏らは憂慮すべき事態だと考えている。

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする