80歳以上の降圧、次善の策は「145mmHgで十分」?

「130mmHg未満」を達成できない場合

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〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。3月17~23日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「80歳以上の降圧目標」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。

後期高齢者の降圧目標、ガイドライン間で乖離

 2023年時点で、日本には80歳以上の高齢者が約1,260万人存在する。国民の「10人に1人」の割合だ。にもかかわらず、この集団に対する血圧管理目標はガイドライン間で異なる。

 例えば、日本老年医学会による「高齢者高血圧診療ガイドライン2017」では、「75歳以上」の降圧目標をまず「150/90mmHg」、 忍容できれば「140/90mmHg未満」としている(以下、血圧の単位は省略)。一方、日本高血圧学会作成「高血圧治療ガイドライン2019」では75歳以上でも原則として「140/90未満」を降圧目標とし、忍容性があれば「収縮期血圧(SBP)130未満」の考慮も可とする。

 このようなガイドライン間の乖離は米国でも見られる。米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)の2017年版高血圧ガイドラインが年齢の別なく「130/80」を「推奨」「考慮可」としているのに対し(Circulation 2018; 138: e484-e594)、米国内科学会/米国家庭医学会ガイドラインでは60歳以上なら降圧目標は原則SBP「150未満」である(Ann Intern Med 2017; 166: 430-437)。


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