疑問と謎深まる「GLP-1関連薬による減量の意義」

なぜ心血管リスクが低下するのか

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ
〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。3月24~30日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「肥満と冠動脈石灰化」に関する論文で、これを端緒にGLP-1関連薬による減量の意義に考察を広げています。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。

若年時の肥満は冠動脈石灰化のリスク

 GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)とGIP/GLP-1受容体作動薬が、糖尿病だけでなく一部の肥満症にも用いえるようになった。心血管疾患(CVD)減少に向けた新たな介入法として注目されている。

 肥満が心血管(CV)系に及ぼす悪影響は多岐にわたるが、東アジア人では若年時(60歳以下)の肥満により冠動脈石灰化(CAC)リスクも上昇するようだ。韓国・成均館大学校のDa-Eun Sung氏らが3月24日、Am J Cardiolで報告した。

 とはいえ、CVD既往のない過体重・肥満例におけるCVイベント発生リスクは、既報ランダム化比較試験(RCT)を眺める限り、高くない。またGLP-1RAによる「CVイベント抑制」は「減量」と無関係である可能性も、RCTから示唆されている(いずれも後述)。

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