有用な治療が模索される「閉塞伴わない心筋梗塞」

関心高まるMINOCA、INOCA

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ
〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。3月31日~4月6日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「冠動脈の閉塞を伴わない心筋梗塞」に関する論文で、類似病態の「有意狭窄を認めない心筋虚血」についても、米国の学会発表を紹介しています。最近注目の話題で、有効な治療法が模索されているところです。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。

通常の心筋梗塞への有用性が確立しているDAPTなら...

 「冠動脈の閉塞を伴わない心筋梗塞」(MINOCA)や「有意狭窄を認めない心筋虚血」(INOCA)への関心が高まっている。今年の日本循環器学会学術集会(3月28~30日)でも、複数のシンポジウムが組まれた。しかし、「治療」についての新規知見は少ない。

 観察研究から有用性が示唆されているのは、レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬とスタチンである。MINOCA例で「主要心血管イベント」(MACE)や「死亡」抑制作用が報告されている (Circulation 2017; 135: 1481-1489Front Pharmacol 2020: 10: 1606)。ただし、今年の米国心臓病学会学術集会(ACC.25、3月29~31日)では、INOCAに対するこれらの有用性を否定するランダム化比較試験(RCT)が報告された (後述)。

 では、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)はどうか。通常の心筋梗塞に対する有用性が確立しているのは周知の通りだ。しかしMINOCAを対象とした観察研究をメタ解析したところ、転帰改善は認められなかった。ギリシャ・Papanikolaou General HospitalのIoannis Efthymiou氏らが4月4日、Cardiol Revで報告した。

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