結局、気管支拡張症に吸入ステロイドは効くの? 初の大規模観察研究から 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 研究の背景:推奨されていないが実臨床で使用されているICS 気管支拡張症は慢性的な気道炎症と感染を背景に、気道の不可逆的な拡張を特徴とする慢性呼吸器疾患である。中高年の女性に多い疾患であるが、気管支拡張が先なのか、感染が先なのかはまだ明確には示されていない。 現在、気管支拡張症に特異的な薬剤は上市されていない。びまん性汎細気管支炎(DPB)型の場合、エリスロマイシン長期療法というものが存在するが、中葉や舌区に見られるコモンな気管支拡張症にどう対峙すべきか、長らく解明できなかった歴史もある。 気管支拡張症の臨床像は、喀痰、慢性咳嗽、反復する気道感染症、呼吸困難など多岐にわたる。炎症の主体は好中球性であり、喀痰中には緑膿菌やMycobacterium avium complex(MAC)などの病原菌が高頻度に検出される。過去の研究では、気管支拡張症に対する吸入ステロイド薬(ICS)の明確な有効性は示されておらず、むしろ感染症リスクの増加や副作用が懸念されてきた(Cochrane Database Syst Rev 2018; 5: CD000996、Eur Respir J 2019; 54: 1801896)。そのため、欧州呼吸器学会(ERS)を含む複数の国際ガイドラインでは、喘息、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、または一部の好酸球優位の慢性閉塞性肺疾患(COPD)を除き、気管支拡張症に対するICSの使用は原則推奨されていない(Eur Respir J 2017; 50: 1700629)。 しかしながら、実臨床ではICSが時折使用されている現状がある。その背景には、重症例に対する治療オプションに限界があること、炎症を制御できるという期待、喘息やCOPDの未診断例の混在があるのではないかという見解、あるいは地域ごとの診療プラクティスの違いなどがある。これまでICSの使用実態およびその臨床転帰への影響を大規模に評価した研究は限られており、より実態に即したエビデンスの集積が求められていた。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×