「抑うつ」リスクの低い血糖降下薬は?

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〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。4月7~13日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「糖尿病と抑うつ」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。

「抑うつ」合併で糖尿病性イベントのリスク上昇

 糖尿病例では「抑うつ」の合併頻度が高い。既報42研究のメタ解析(2万1,351例)からは、非糖尿病例に比べ2.0(95%CI 1.8~2.2)というオッズ比(OR)が報告されている(Diabetes Care 2001; 24: 1069-1078)。

 加えて、2型糖尿病例が「抑うつ」を「合併」すると「非合併」例に比べ、糖尿病性イベントのハザード比(HR)も1.64 (95%CI 1.52~1.76)に上昇する。これはイタリア在住3万例強を解析の結果、明らかになった(Acta Diabetol 2022; 59: 95-104)。2型糖尿病例の「抑うつ」合併は、QOLだけの問題にとどまらない。

 そこで気になるのが、「血糖降下薬」の「抑うつ」への影響だ。個々の薬剤についてなら、報告は複数ある。しかし、薬剤間の比較を十分な数の2型糖尿病例を対象に実施した報告はない。

 そこで台湾・Taichung Veterans General HospitalのI-Chieh Chen氏らは大規模臨床データを用い、主要血糖降下薬間で「抑うつ」発症リスクを比較したものである。結果は4月9日、Diabetes Res Clin Practに掲載された。

宇津 貴史(うつ たかし)

医学系編集会社、広告代理店(編集職)とメディカルトリビューン(記者)を経て、2001年からフリーランス。新聞系メディアなどに記名、匿名で執筆を続ける。平日は原則として毎朝、最新論文をチェック(https://x.com/Office_j)。特定非営利活動法人・臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)会員。会員向けニュースレター記事執筆、セミナーにおける発表などを担当。日本医学ジャーナリスト協会会員。共著に『あなたの知らない研究グレーの世界』(中外医学社)。

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