怒りの論文投稿!「飽和脂肪酸制限」に医学的根拠なし 欺瞞と捏造に支えられた根拠なき推奨への反対論 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 研究の背景:学会や国が推奨する飽和脂肪酸制限だが、国際的には疑問符 多くの先生方にとって、動脈硬化性疾患予防のために飽和脂肪酸制限を指導することは当然のことになっているであろう。 例えば、日本動脈硬化学会の『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022』においては、FQ3において、飽和脂肪酸制限はエビデンスレベル1+、推奨レベルAで推奨されている(p80-82)。また、厚生労働省の『日本人の食事摂取基準2025』では、「飽和脂肪酸摂取量をどの程度に留めるのが好ましいかを決める科学的根拠は十分ではない」としつつ、「最近の調査で得られた摂取量(中央値)を基に活用の利便性を考慮し、目標量(上限)を7%エネルギーとした」として、成人・高齢者の飽和脂肪酸の目標量の上限をエネルギー比率7%に設定している(p110)。 権威ある学会や国が飽和脂肪酸制限を推奨しているのであるから、日常臨床において飽和脂肪酸制限が推奨されるのは当然のことである。 しかし、飽和脂肪酸制限の有効性についてはPURE studyという国際的コホート研究において否定的であったことを以前にご紹介したことがある(BMJ Open Diab Res Care 2020; 8: e000826)(関連記事「『動物性脂肪=悪』は常識でも誤謬かも」)。この2020年という年は、世界的には飽和脂肪酸制限について再検討の必要性が認識された年であり、米国心臓学会(ACC)の機関誌JACCのstate-of-the art reviewでは、これまで通りの飽和脂肪酸制限の推奨を継続することを支持するエビデンスがないことが明記された(J Am Coll Cardiol 2020; 76: 844-857)。 また、米国臨床栄養学雑誌においては飽和脂肪酸制限についてのdebate論文が公開されており、飽和脂肪酸制限が動脈硬化性疾患を予防するために推奨できるかどうかは結論の出せない疑問として位置づけられている(Am J Clin Nutr 2020; 112: 13-18、19-24、25-26)。 私にとっては、科学的根拠が確立されていない生活制限を(国や医療者側の利便性のために)患者に課すことは「無危害原則」に反することに思える。このため、自身で飽和脂肪酸制限食が動脈硬化性疾患を予防するかどうかについてのランダム化比較試験(RCT)のシステマチックレビューとメタ解析を行うこととした。このたび、ようやく日本医学会誌で論文が採択された(JMA J 2025年3月21日オンライン版)。私自身の論文をDoctor's Eyeでご紹介するのは僭越との気もするのではあるが、極めて重要な情報であると思っているので、ご紹介させていただきたい。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×