降圧治療に成功しても正常化しない残余リスク

注目される「交感神経系亢進」

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ
〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。4月14~20日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「高血圧と交感神経系亢進」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。

SPRINT試験で示唆される残余リスク

「高血圧」治療において最も重要なのが「降圧」であるのは論をまたない。しかし、超積極的降圧の有用性を示したSPRINT試験でさえ、「収縮期血圧(SBP)120mmHg未満」群における心血管(CV)イベント発生率は、高リスク高血圧例対象とはいえ「年間1.65%」だった(N Engl J Med 2015; 373: 2103-2116)。残余リスクがあるのだろうか。

 そのような観点からも近年、「交感神経系亢進」抑制の重要性が注目されているようだ(J Hypertens 2023; 41: 1688-1695)。いうまでもなく、交感神経系の亢進はCV予後増悪因子である。

 では現在の降圧治療で血圧を下げると、交感神経系亢進はどこまで抑制できるのか。交感神経遮断薬やレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬を含め、かなり残念なデータが4月18日、Hypertensionで公開された 。報告者は、イタリア・IRCCS Istituto Auxologico ItalianoのFosca Quarti-Trevano氏らである。

宇津 貴史(うつ たかし)

医学系編集会社、広告代理店(編集職)とメディカルトリビューン(記者)を経て、2001年からフリーランス。新聞系メディアなどに記名、匿名で執筆を続ける。平日は原則として毎朝、最新論文をチェック(https://x.com/Office_j)。特定非営利活動法人・臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)会員。会員向けニュースレター記事執筆、セミナーにおける発表などを担当。日本医学ジャーナリスト協会会員。共著に『あなたの知らない研究グレーの世界』(中外医学社)。

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