SGLT2阻害薬の心保護作用、東アジア人では「?」

韓国研究「BMI低値例では有意差なし」

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ
〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。4月28日~5月4日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「BMI別に見たSGLT2阻害薬の心保護作用」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。

SGLT2阻害薬のエビデンスは「高BMI」対象

 SGLT2阻害薬には、心血管(CV)高リスク2型糖尿病例のCVイベント減少や心不全増悪抑制が期待されている。そのため、わが国の『糖尿病診療ガイドライン2024』や『2025年改訂版心不全診療ガイドライン』でも推奨されている。

 いずれも大規模ランダム化比較試験(RCT)に裏打ちされたエビデンスがある。しかし、それらRCT(N Engl J Med 2015; 373: 2117-2128N Engl J Med 2017; 377: 644-657N Engl J Med 2019; 380: 347-357)に含まれるアジア人の割合は決して高くない。最も多かったEMPA-REG OUTCOME試験でさえ22%にすぎず、CANVAS試験は12.7%、DECLARE-TIMI 58試験ではアジア・太平洋を合わせて12.7%という数字だった。

 加えて「肥満度」も大きく異なる。前記3RCTにおける平均BMIは「31~32」だった。一方、わが国のCV高リスク2型糖尿病を対象としたRCT "J-DOIT3" の、BMI平均値は「25弱」である(Lancet Diabetes Endocrinol 2017; 5: 951-964)。高度肥満を伴わない2型糖尿病例でも、SGLT2阻害薬にCV保護作用は期待できるのだろうか。

 このような観点から興味深い成績が4月28日、Diabetes Obes Metabに掲載された。BMIが低い東アジア人2型糖尿病例の場合、SGLT2阻害薬によるCV保護作用に「?」がつく可能性もあるようだ。韓国・成均館大学校のHwa Yeon Ko氏らが報告した。

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする