脳卒中は心不全の隠れリスク?!

中国8万例の症例対照研究

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ
〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。5月5~11日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「脳卒中後心不全」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。

心不全リスクとして注目される「脳卒中・心臓症候群」

 「心不全パンデミック」への警戒が、数年前から高まっている。回避には何よりも予防が重要であり、日本循環器学会などによる『2025年改訂版 心不全診療ガイドライン』では心不全「発症予防」の具体的なアルゴリズムが示された。介入対象は古典的な心不全危険因子である。

 一方、古典的な危険因子とは別に、心不全リスクとして近年注目されているのが、「脳卒中・心臓症候群」(Stroke-heart syndrome)だ (Lancet Neurol 2018; 17: 1109-1120)。脳卒中そのものが、脳卒中・虚血性心疾患(IHD)に共通の危険因子と相まって、脳卒中後の心筋傷害を引き起こすと考えられている。

 事実、脳梗塞発症4日後(中央値)には9.6%で収縮不全、23.3%で拡張不全を認めたとする、ドイツからの大規模調査も報告されている(ESC Heart Fail 2021; 8: 1117-1129)。

 だがこれまで、脳卒中非発症例と比較したリスク、あるいは東アジア人における脳卒中後心不全の頻度は明らかでなかった。そのような中、5月6日、この点を明らかにする待望のデータが、Am J Cardiolに掲載された。中国在住のおよそ8万例を対象とした、症例・対照研究である。中国・北京大学のXiaofei Liu氏らが報告した。

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする