周産期を極めるため、小児を学べる施設に

沖縄県立南部医療センター・こども医療センターでの初期研修

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編集部から
研修医の実体験を通して臨床現場の生の声を伝える「初期研修リアル体験記」。国家試験に合格したばかりの先生は未来の自分を重ねながら、ベテランの先生はご自身の思い出を振り返りつつお読みいただければ幸いです。

下地 真梨子 (しもじ まりこ)

所属:沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 集中治療科
研修先:沖縄県立南部医療センター・こども医療センター(2024年4月〜26年3月)

下地 真梨子 (しもじ まりこ)

wheezeやけいれんの見極め、心停止の蘇生を経験

 沖縄県の南部に位置する沖縄県立南部医療センター・こども医療センターは、成人の総合医療センターにこども病院を併設した、全国でも数少ない研修施設です。当院を初期研修先に選んだ理由はいくつかありますが、一番は、初期研修医が小児を診ることができる病院だったことです。私は周産期医療に興味があり、周産期につながる小児医療を初期研修のうちにしっかり学んでおきたいと考えていました。「小児を診ることへの抵抗感はなくなるよ。むしろ、どこの研修医よりも得意になれると思う」。先輩のその言葉で、私はここでの研修を決めました。

 実際に働いてみて、救急外来ではたくさんの小児を診療し、経過観察するのか入院するのか悩みながら、さまざまな経験をしました。喘息に特徴的な喘鳴(wheeze)も、教科書上の勉強だけではこれが本当にwheezeなのか分からず、何度も聴診して、2年目の先輩や小児科の先生と答え合わせをしました。聴診や、けいれんが本当に止まっているかの見極め、心停止の蘇生など、軽症から重症まで数をこなすことで、少しずつ分かるようになってきたと思います。悩むことや難しく感じることも多々ありますが、救急医が常にいてコンサルトできる体制が整っているため、自分の対応や判断が正しいのかすぐにフィードバックをもらうことができます。

写真1.小児病棟入院中の子供たち向けのクリスマス会

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17人中12人は県外出身

 当院のもう一つの魅力は、元気で明るい研修医です。沢山経験できる病院がいいけど、忙しいだけだと続けられるか不安だった私にとって、忙しいながらも明るく元気な研修医が多い当院はとても魅力的でした。働いてみて、体力的にきついと思うことはありますが、何でも話せる個性豊かな同期のおかげで、精神的なストレスはかなり少ないように感じます。当直明けにランチをしたり、同期で海の見えるヴィラに泊まったり、プライベートも楽しく過ごすことができています。

写真2.何でも話せる個性豊かな同期たち

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 当院の研修医は、沖縄県外出身者が多い(17人中12人)ことも特徴です。そのため、沖縄出身でないからといって馴染みにくいこともありません。色々な地域から集まってきた仲間と働くことができ、とても刺激が多く楽しい研修生活を送ることができています。

離島医療の経験も

 沖縄ならではの特徴としては、少し車を走らせると美しい海があり、ビーチパーティーをしたりドライブをしたりと、休日にリフレッシュすることができます。また、当院は県内離島に附属診療所を有しており、地域医療研修で離島医療を経験でき、場合によってはローテーション科の上級医の離島代診についていくこともできます。私は、総合診療科の上級医とともに久高診療所に行きました。急性期病院とは全く異なる診療所の雰囲気はとても新鮮でした。診療所では、患者さんとともに島の特産のイラブー(エラブウミヘビ)を見に行き、午後は帰りのフェリーの出港数分前まで裂創の縫合をして、フェリーに飛び乗って帰るという、とても貴重な経験ができました。

写真3.離島代診で久高診療所へ

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 これから初期研修先を選ぶに当たり、自分にとって理想的かどうかも大事ですが、自分がどのような環境なら頑張れるか、続けることができるかを大切にしてほしいです。沖縄の研修病院は全体として、研修医を育てようという意識が高いところが多いです。迷っている方は、ぜひ沖縄にも見学に来てみてくださいね。

図. 集中治療科研修時の1日の主な流れ

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