〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。5月12~18日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「降圧薬"就寝前"服用の有効性」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。 先行RCTの結果が一致せず 降圧薬を就寝前に服用すれば、起床後に服用するよりも夜間血圧のより大きな低下が期待できるため、心血管(CV)リスク抑制作用も大きいのではないか――。このような見立てを耳にするようになったのは、(降圧試験ではないが)就寝前ACE阻害薬服用によりCV高リスク例のCVイベントが著明に減少したHOPE試験 (N Engl J Med 2000; 342: 145-153)の後からだっただろうか。 2010年には降圧薬「就寝前」服用が有用とするランダム化比較試験(RCT)MAPECが報告されるが、その後、逆の結果を報告するRCTも現れ、結論は出ていなかった(後述)。 そのような中、降圧薬「就寝前」服用の有用性を検討した最新のRCTであるBedMedが5月12日、JAMAに掲載された。著者はカナダUniversity of AlbertaのScott R.Garrison氏ら。降圧薬服用のタイミングだけでなく、「夜間血圧管理」についても考えさせられる結果となった。