製薬会社「利益供与」と医師「処方行動」の密な関係

ただほど怖いものはない?

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ
〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。7月21~27日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「製薬会社と医師の処方行動」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。

従来研究は患者の背景因子が考慮されず

 製薬会社から医師への利益供与は処方に影響を与える。この点は多くの研究が報告している(Ann Intern Med 2021; 174: 353-361)。

 ただし、従来研究には限界があった。医師の処方行動にのみ着目し、処方される患者の背景因子が考慮されていなかったのだ。つまり、利益誘導されたように映った処方だが、実は正しいプロモーションに導かれた、患者への適正処方の増加だった可能性も否定できない。

 しかし7月24日、この限界を克服した研究がAm Heart Jに登場した。米・University of Nebraska Medical CenterのAmarnath R. Annapureddy氏らが実施した、米国心臓病学会(ACC)主導レジストリの解析結果である。

 強みは、患者レジストリを用いているため、背景因子が明らかな点である。処方に差があった場合、それが「利益供与」によるものか「背景因子の差」によるものかを検討できる。

 "There is no such thing like a free lunch."(ただほど怖いものはない;編集部注)という有名なことわざは、医療用医薬品処方にも当てはまるだろうか?

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする