薬物療法の完敗、肥満症治療による臨床転帰で

vs.手術療法、GLP-1受容体作動薬の10年成績

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ
〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。9月15~21日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「肥満症治療」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。

「現時点で最も信頼性の高いエビデンス」

 インクレチン関連薬はここ数年、血糖降下作用だけでなく、体重減量作用も数多く報告されるようになった。ただし、過体重/肥満(±糖尿病)例を対象に、臨床イベント抑制作用を主要評価項目としたランダム化比較試験(RCT)は、SELECT、SUMMITくらいである(N Engl J Med 2023; 389: 2221-2232N Engl J Med 2025; 392: 427-437)。さらに「減量・代謝改善手術」(以下、減量手術)を対照に、肥満例に対するインクレチン関連薬の臨床イベント抑制作用を比較した検討も限られていた(後述)。

 そこで米・Cleveland ClinicのHamlet Gasoyan氏らは、肥満2型糖尿病例を対象に、「減量手術」と「GLP-1受容体作動薬」(GLP-1RA)を長期比較する大規模後ろ向き研究を実施した。評価項目は「死亡」と「大血管症」「細小血管症」である。

 結果は9月16日、Nature Medicineに掲載された。最終著者はAli Aminian氏。Cleveland Clinicで減量手術を手がけ、減量手術に関する論文も多数著している。

 同氏らは本研究が「現時点で最も信頼性の高いエビデンス」と胸を張る。はたして「薬物療法」は「減量手術」に取って代わりうるだろうか。注目の結果は「完敗」であった。

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