ドクターズアイ 今野良(産婦人科)

月経周期と体臭がもたらす男性の反応

嗅覚コミュニケーションの最前線

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研究の背景:フェロモンの謎に迫る

 動物界における体臭(フェロモン)が生殖行動やパートナー選択を決定付ける化学的シグナルであることは、確立された知見である。一方、ヒトの嗅覚コミュニケーションの生物学的意義については、長らくその具体的なメカニズムが不明瞭であった。

 先行研究では、男性が女性の排卵期に発生する体臭に対し、他の月経周期と比較して有意に高い魅力を感じる傾向が示唆されてきた。しかし、その心理的・生理的影響を誘発する揮発性成分が特定されておらず、現象論的な理解にとどまっていた。

 東京大学農学部などの研究グループは、この未解明領域に焦点を当て、月経周期を通じた女性の腋臭成分を詳細に分析することで、ヒトにおける嗅覚シグナルの化学的実体と、それが男性の認知・生理に及ぼす影響の解明を試みた(iScience 2025; 28: 113087)。

今野 良(こんの りょう)

自治医科大学名誉教授、自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科、メディカルコンサルH&B代表、特定非営利法人子宮頸がんを考える市民の会理事長

日本産婦人科学会(専門医)、日本婦人科腫瘍学会(専門医)、日本産婦人科内視鏡学会(理事、技術認定医)、日本臨床細胞学会(専門医)、日本エンドメトリオーシス学会(理事)、日本婦人科がん検診学会(2012年学術集会長)、日本美容内科学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本産婦人科医会、日本旅行医学会など。
ASCO(米国臨床腫瘍学会、子宮頸がんガイドライン作成委員・外部評価委員)、AOGIN(アジアオセアニア生殖器感染症および腫瘍に関する学会、日本代表理事、2017年TOKYO meeting会長)、Aesthetic &Anti-Aging Medicine World Congress(世界美容医療・アンチエイジング医学会)、World Endometriosis Society(世界内膜症学会)など。

今野 良
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