〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。10月13~19日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「遠隔虚血プレコンディショニング」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。 上肢・下肢を圧迫して心臓などに虚血耐性をもたらす治療法 「遠隔虚血プレコンディショニング」(RIC:上肢や下肢を圧迫して一過性に虚血を作製し、再灌流する治療法)は当初、心臓などの遠隔臓器に虚血耐性をもたらす作用が注目されていた。さらに近年では、「降圧作用」も報告されている。 例えば、降圧薬非服用の高血圧95例を対象とした米国のランダム化比較試験(RCT)では、RICにより偽手技に比べ、24時間収縮期血圧(SBP)平均値は3.6mmHg、有意に低下した(95%CI 0.3~6.9 mmHg;Hypertension 2023; 80: 1274-1282)。 では、東アジア人でも同様に、RICにより血圧は低下するのだろうか。また、降圧薬服用例への降圧作用上乗せは期待できるのか。 この点を解明すべく中国で実施されたRCTが "RICBP-EH" である。10月16日、eClinMedで報告された。著者は中国・吉林大学第一病院のWen-Jing Yin氏ら。 同氏らは、RICによる降圧作用を「腎デナベーションに比肩しうる」と評価している。