塩野義製薬と徳洲会は昨日(11月5日)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬のエンシトレルビル(商品名ゾコーバ)について、12歳以上の外来COVID-19患者が対象のANCHOR試験において、抗ウイルス薬非投与の対照群と比べエンシトレルビル投与例ではコロナ罹患後症状(Long COVID)の発現リスクが有意に約14%低かったと発表した。結果の詳細は、第20回アジア太平洋臨床微生物学・感染症会議(APCCMI、11月2~4日)で報告された。(関連記事「ゾコーバ、初の新型コロナ予防薬として期待」) 同試験では、徳洲会グループ51病院で2024年2月1日~10月31日に登録した12歳以上の外来COVID-19患者を対照群(5,518例)と抗ウイルス薬投与群(2,181例:エンシトレルビル、ニルマトレルビル/リトナビル、モルヌピラビル)に割り付けた。 解析の結果、主要評価項目としたLong COVID〔登録後28~84日目に持続した同一症状(疲労、息切れ/呼吸困難、咳、嗅覚障害、味覚障害)が少なくとも1つ確認された場合と定義〕の発現率は、対照群の約26%に対し、抗ウイルス薬投与群では約24%と有意に14%低く〔調整後リスク比(aRR)0.86、95%CI 0.78~0.93、P<0.001〕、エンシトレルビル投与例に限定しても14%低かった(同0.86、0.79~0.95、P=0.002)。 副次評価項目とした、28日以内のCOVID-19関連の再受診頻度については、対照群と抗ウイルス薬投与群に有意差はなかったのに対し(aRR 0.93、95%CI 0.83~1.04、P=0.266)、エンシトレルビル投与例では再診リスクが有意に12%低かった(同0.88、0.78~0.99、P=0.030)。