週刊論文ウォッチ

2大血糖降下薬のフレイルへの懸念は払拭されたか

GLP-1RA、SGLT2阻害薬のリスクを米・大規模データで検証

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。11月10~16日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「血糖降下薬とフレイル」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。

日本糖尿病学会も可能性を指摘

 GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)はその減量作用に期待が集まる一方、脂肪だけでなく筋肉の減少に伴う、サルコペニアやフレイルのリスク上昇が懸念されている。

 日本糖尿病学会が昨年(2024年)発出した『インクレチン関連薬の安全な使用に関するRecommendation 第2版』にも、「食事摂取量の不足した高齢者では、体重減少からサルコペニア・フレイルにいたる可能性がある」との記載がある。

 SGLT2阻害薬も同様に、尿糖排出に起因する異化亢進による筋肉量減少(サルコペニア)の可能性が、一部で指摘されている。

 これらの懸念は正鵠を射ているのか。

 この点を米国の大規模データで検証した結果が、11月13日、Diabetes Careに掲載された。著者は米国・Harvard Medical SchoolのChan Mi Park氏ら。同氏らによると、両薬剤とフレイルの関連を検討した初めての研究だという。
 

宇津 貴史(うつ たかし)

医学系編集会社、広告代理店(編集職)とメディカルトリビューン(記者)を経て、2001年からフリーランス。新聞系メディアなどに記名、匿名で執筆を続ける。平日は原則として毎朝、最新論文をチェック(https://x.com/Office_j)。特定非営利活動法人・臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)会員。会員向けニュースレター記事執筆、セミナーにおける発表などを担当。日本医学ジャーナリスト協会会員。共著に『あなたの知らない研究グレーの世界』(中外医学社)。

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