冠動脈不安定プラーク評価-血中microRNA-100発現とIB-IVUS所見が相関

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 microRNA(miRNA)は,20塩基程度の非コードRNAの一種で,蛋白翻訳の抑制が主な役割と考えられている。smallinterferingRNA(siRNA)と異なり,miRNAは血中で長時間安定して存在する利点があり,疾患バイオマーカーとしての有用性が注目されている。徳島大学大学院バイオヘルスサイエンス研究部循環器内科講師の添木武氏らは,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた狭心症患者連続32例の横断研究の結果から,組織性状評価が可能なintegratedbackscatte(rIB)法を血管内超音波検査(IVUS)に応用したIB-IVUSで同定した冠動脈プラークの脂質あるいは線維量比率が血中microRNA(miR)-100発現レベルと相関することをCircJ(2015;79:413-418)に報告。IB-IVUS所見は,冠循環前後のmiR-100発現量の差であるΔmiR-100〔冠静脈洞(CS)-大動脈〕とより強く相関することから,miR-100が不安定プラークにおいて産生されることが示唆されるという。

研究者の横顔

徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部
器官病態修復医学講座循環器内科学講師
添木武氏

 添木氏は1992年に徳島大学を卒業後,病院勤務,国立循環器病センター研究所生化学部研究員を経て,2005年に徳島大学循環器内科講師に就任。同科の佐田政隆教授とともに,不整脈や心筋梗塞を中心に,グレリンやC型ナトリウム利尿ペプチドなどの生理活性ペプチドを用いたバイオマーカーや新規治療法の開発,心房細動と炎症に関する研究などを進めている。

 近年,さまざまな心血管疾患モデルでmiRNA遺伝子発現が解析されており,急性冠症候群患者では傷害心筋組織中のmiRNAが上昇し,心臓を栄養する血管の入り口(大動脈)と出口(CS)で差(transcoronaryconcentrationgradient)が生じることが報告された(Circulation2011;124:1936-1944)。今回の研究では,上述した論文を含めて動脈硬化プラーク進展や心筋障害との関連が報告されている10種類のmiRNAの中で,血中miR-100が不安定プラークと相関する可能性が示された。今後の研究では,動脈硬化プラーク進展におけるmiR-100の役割を解明することが課題となる。血中miR-100レベルと臨床経過や予後との関係を観察するなど,不安定プラークのバイオマーカーとしての有用性および新規治療法の可能性について検討を進めたいという。

 余暇活動では,毎週ランニングを楽しんでいるという佐田教授に触発され,医局員数人とともに3年前から「とくしまマラソン」に参加。今年も3月22日の同大会での完走を目指し,数カ月前から練習を本格化,週末ごとに10~20kmの長距離を走る。効用について,添木氏は「マラソンで気分が高揚するほどではなく,β-エンドルフィンは分泌されていないと思うが,ランナー用ウォークマンを聴きながら川沿いを走ると気分転換になる。また気になるメタボ体型が改善した」と話している。

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