FFRを指標とした冠動脈有意狭窄を良好に検出

CZT半導体ガンマカメラの診断能

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

 テルル化亜鉛カドミウム(cadmium-zinc-telluride;CZT)半導体検出器を搭載した心臓専用SPECT装置が,2010年にわが国でも新たに使用可能となった。この次世代の半導体検出器は優れた画質を提供するが,冠動脈造影(CAG)と冠血流予備量比(FFR)を指標とした冠動脈有意狭窄をどこまで検出できるのかは十分検討されていない。東京医科大学循環器内科の田中宏和氏(現・東京医科大学茨城医療センター循環器内科准教授)らは,安定冠動脈疾患(CAD)患者95例の後方視的検討の結果から,タリウム-201(201Tl)製剤を用いたCZTSPECT装置(DiscoveryNM530c)は,従来型装置に比べて撮像時間が短く,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の適応となる機能的な有意狭窄病変の診断に有用であるとCirc J(2014;78:2727-2734)に報告。同装置の問題点として,下壁の集積低下がより増強されるが,仰臥位と伏臥位の画像を比較することで減弱アーチファクトを判別し,診断精度を向上させることができるという。

研究者の横顔

東京医科大学茨城医療センター循環器内科
田中宏和氏

 田中氏は1996年に札幌医科大学を卒業。2002年に東京医科大学循環器内科に入局,核医学班に所属し,同科の山科章主任教授,近森大志郎教授の指導を受けた。田中氏らは,従来のアンガー型ガンマカメラに比べて,CZTガンマカメラの撮像時間は大幅に短縮されるが,MPIの画質には遜色がないことを昨年報告(CircJ2013;77:1009-1017)。今回の研究では,CZTSPECT装置がFFRを指標とした機能的な冠動脈有意狭窄の検出に有用であることを示した。

 CZTガンマカメラの優れた性能を使いこなすための課題の1つとして,同氏は,テクネチウム(99mTc)を用いた検査が世界的にも主流となっている中で,より半減期が長く,被ばく量の多い201Tlが核種として使用されている点を挙げる。今後,CZTガンマカメラにおける99mTc,201Tl両製剤による診断精度が異なる原因を明らかにし,99mTcを使用して診断精度を向上させる工夫が必要になると指摘する。

 同氏は昨年から同大学茨城医療センターに勤務。今年,心臓リハビリテーション指導士資格を取得し,理学療法士,看護師,管理栄養士とともに,狭心症や心筋梗塞,心不全などの患者の再発予防や社会復帰を支援している。同氏は「個々の患者の病態や心肺機能検査結果に基づく運動メニューを提示し,運動の習慣化を支援できれば,再発リスクを軽減できる。退院後はリハビリテーションに通えなくても,セルフケアとして運動や食生活の改善を継続する患者もいるので利点は大きい」と,心臓リハビリテーションの魅力を語った。

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする