テルル化亜鉛カドミウム(cadmium-zinc-telluride;CZT)半導体検出器を搭載した心臓専用SPECT装置が,2010年にわが国でも新たに使用可能となった。この次世代の半導体検出器は優れた画質を提供するが,冠動脈造影(CAG)と冠血流予備量比(FFR)を指標とした冠動脈有意狭窄をどこまで検出できるのかは十分検討されていない。東京医科大学循環器内科の田中宏和氏(現・東京医科大学茨城医療センター循環器内科准教授)らは,安定冠動脈疾患(CAD)患者95例の後方視的検討の結果から,タリウム-201(201Tl)製剤を用いたCZTSPECT装置(DiscoveryNM530c)は,従来型装置に比べて撮像時間が短く,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の適応となる機能的な有意狭窄病変の診断に有用であるとCirc J(2014;78:2727-2734)に報告。同装置の問題点として,下壁の集積低下がより増強されるが,仰臥位と伏臥位の画像を比較することで減弱アーチファクトを判別し,診断精度を向上させることができるという。