酸化ストレスは心血管疾患においても重要な役割を果たしており,心不全の心筋障害や虚血再灌流障害に直接関与することが知られている。しかし,器質的心疾患のない状態での心筋の電気的リモデリングと酸化ストレスとの関係は明らかでなかった。北里大学循環器内科(阿古潤哉教授)の黒川早矢香氏(現:日本大学板橋病院循環器内科)らは,心筋/骨格筋特異的スーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)2ヘテロ欠損(H/M-Sod2+/-)マウスに,グルタチオン合成酵素阻害薬であるBSO(L-buthioninesulfoximine)を加えることで,心筋に酸化ストレスが蓄積しやすいが,その表現型は野生型(WT)と明らかな違いはないという心筋特異的酸化ストレスモデルを作製。同モデルでは,心筋ミトコンドリア由来のスーパーオキサイドがカリウム(K)チャネル発現低下を介して電気的リモデリングを惹起することをCirc J(2014:78:1950~1959)に報告。不整脈基盤の形成過程にも酸化ストレスが直接関与している可能性を初めて明らかにした。