第2回 海を見ていた午後

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

 日本海の離島、隠岐の西ノ島から今回は白石裕子が担当します。

 前回ご紹介したように私たち親子3人が島にやってきたのは1998年春。私自身は産休育休の8カ月間が明けた時期でもあり、医師5年目にして初めての、子育てしながらの勤務が始まりました。当時は、医師1人診療所に週4日勤め、残り1日は現隠岐島前病院の前身である島前診療所(19床の有床診療所)に勤務し、上・下部内視鏡検査や腹部・心臓超音波検査などの研修をしていました。

 最近患者さんから聞いた話では、診療所に見習いの看護師さんか女医先生か分からないひとが来たと当時はうわさになっていたらしいです。最近になっても、スーパーでも診察室でも、私を「先生」とは呼ばずに「(院長先生の)奥さん」と言われます。「私も医師免許を持っているけど...」と思うこともありますが、「いつもお世話になっております」と無難に返すようにしています(笑)。田舎の処世術っていう感じかもしれません。島で長く暮らす高齢の患者さんにとっては、奥さんだろうとお医者さんだろうと大差ないようで、かわいがってくださいます。

白石 吉彦(しらいし よしひこ)
 離島総合医。1992年に自治医科大学卒業後、徳島で研修、山間地のへき地医療を経験。1998年に島根県の隠岐諸島にある島前診療所(現隠岐島前病院)に赴任。2001年に同院院長。周囲のサテライトの診療所を含めて総合医の複数制、本土の医療機関との連携をとりながら、人口6000人の隠岐島前地区の医療を支えている。
 2014年に第2回日本医師会赤ひげ大賞受賞。著書に『離島発 いますぐ使える!外来診療小ワザ離れワザ』(中山書店、2014)、THE整形内科(南山堂、2016.5、編集幹事)。

白石 裕子(しらいし ゆうこ)
 離島総合医。1994年に自治医科大学卒業。徳島県立中央病院、徳島大学病院小児科、徳島県立三好病院、西祖谷診療所勤務。1997年に1子出産。1998年に島根県隠岐諸島・西ノ島の島前診療所に赴任、西ノ島町立浦郷診療所長兼務。2001年に第2子出産。2003年に島根県立中央病院にて後期ローテート研修。2004年に隠岐島前病院に再度赴任、浦郷診療所長を兼務、第3子出産。知夫診療所へ週1回派遣。2006年に第4子出産。2010年に隠岐島前病院小児科長、西ノ島町内の学校医、園医、乳児〜就学時、5歳児健診、予防接種等小児科業務と総合内科、診療所業務、病院業務等行う。
 2015年に自治医科大学地域医療学教室学外講師地域担当。2015年に第2回やぶ医者大賞受賞(兵庫県養父市)。

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