<第19回>「生活期の高齢者」に生かすリハビリ

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

88歳女性:

高血圧、骨粗鬆症で外来通院中。一人暮らし。腰痛があり歩行は比較的ゆっくりであるが、認知機能は保たれ趣味の手芸を続けている。最近、入浴することが大変で時間がかかり、湯船から出るのは特に苦労するという。外来医が「風呂で何かあると心配だから、ヘルパーやデイサービスを導入したらどうか」と勧めるも、本人は「気が進まない」と言う・・・

"潜在的"にリハビリテーションが必要な高齢者

 今後地域では、リハビリテーションが必要な高齢者が増加すると考えられます。

 これにはまず、脳血管障害、骨折、認知症などにより「ADLの障害」「嚥下障害」「高次脳機能障害」「認知機能障害」などを有する高齢者が増えるという側面があります。これらはいわば"疾患の増加"に伴うもので、主に「急性期」あるいは「回復期リハビリテーション」の対象であるといえます。

 次に、「なんとなく足腰が弱くなった」「フラフラして転びやすい」「物忘れが気になり始めた」など、いわば「明らかな疾患はないが"潜在的"にリハビリテーションが必要な慢性期の高齢者」が増加する側面もあるでしょう。このような高齢者は"生活期"といえますが、リハビリテーションの恩恵が十分に生かされていないのが現状ではないでしょうか。

 本稿では、麻痺、嚥下障害などの障害を明らかに認めない「生活期の高齢者」に対しリハビリテーションの考えを生かすことについて考えます。

木村琢磨先生

木村 琢磨(きむら・たくま)

北里大学医学部総合診療医学・地域総合医療学准教授,北里大学東病院 総合診療・在宅支援センター長。

長野県生まれ。東邦大学医学部卒業,国立東京第二病院(現国立病院機構東京医療センター)で初期研修,国立病院東京医療センター総合診療科で後期研修,国立病院機構東埼玉病院総合診療科などを経て現職。

高齢者の臨床は「さまざまな症候・疾患への対応」「専門診療科への適切なコンサルテーション」「家族」「地域」を念頭に置く,「多職種との恊働」「継続性」を踏まえるなど総合診療医の持ち味を生かせる,やりがいのある領域であると考えています。本連載では,高齢者の臨床について横断的に考えていきたいと思っておりますので,先生方からの忌憚ないご意見をお待ちしております。

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