イレウスのエコー所見 to & fro 見てますか?

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

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 今回は前回の虫垂に引き続き、消化管の外来超音波診療です。

 プライマリケアのセッティングでよくある成人の急性疾患といえば、かぜと腹痛ですよね。腹痛といっても、ちょい痛いくらいから急性腹症のレベルまでありますが、日常の外来で診る腹痛のほとんどは、嘔吐や下痢を伴うウイルス性の胃腸炎で数日の経過でよくなりますね。ただ、腹痛を起こす疾患には致死的なものもたくさんあり、さまざまな疾患を想起しながら診療していると思います。そこで見落としてはいけないのが、虚血、出血、腹膜炎です。バイタルが崩れているような状態であれば、当然頭の中でアラートが鳴り響くのですが、初診時には症状が出そろっていないことも多く、外来診療の地雷になるわけです。さらには急性心筋梗塞の17%が腹痛で発症し1)、肺塞栓の6.7%に腹痛が見られるという報告があり 2)、腹部以外の疾患も原因となったりします。

高齢者では症状がはっきりないイレウスも

 そういった中でも比較的頻度が高いのがイレウス、腸閉塞です。年齢性別にもよりますが、急性腹症の中の5~10%と言われています3)。実際は急性腹症的な発症でなくても急性胃腸炎かな、と思う中に混じってくるのです。特に老人は症状がはっきりしないことも多く要注意です。

白石 吉彦(しらいし よしひこ)
 離島総合医。1992年に自治医科大学卒業後、徳島で研修、山間地のへき地医療を経験。1998年に島根県の隠岐諸島にある島前診療所(現・隠岐島前病院)に赴任。2001年に同院院長。周囲のサテライトの診療所を含めて総合医の複数制、本土の医療機関との連携を取りながら、人口6,000人の隠岐島前地区の医療を支えている。
 2014年に第2回日本医師会赤ひげ大賞受賞。著書に『離島発 いますぐ使える!外来診療小ワザ離れワザ』(中山書店、2014)、『THE整形内科』(南山堂、2016.5、編集幹事)、「離島発とって隠岐の外来超音波診療 動画でわかる運動器エコー入門」(中山書店、2017)。

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