薬剤師の在宅活動に関する素朴な疑問を取り上げてきた本コーナー。なんとなく在宅活動が分かってきたけれど、いざ実践となると、「唐突なハプニングに対応できる自信がない」という初心者の方もいるのでは。実際の活動で起こりえる落とし穴(ピットフォール)を事例に挙げ、その対応方法、解決策を探っていきます。 ご家族が患者さんを虐待している...? ご家族が患者さんに暴力を振るっているところを見てしまいました。別のお宅では、どうやら介護放棄をしているようです。そのようなご家族に情報提供をしても、患者さんの利益につながる服薬支援をしてもらえるのか分かりません。患者さんの生活などに関する情報をご家族から聞きたいのですが、どの程度信じられるのかも分かりません。こうした場合、アドバイザーの皆さんならどうしますか? <div style=" border: 1px dashed #ddd; padding: 15px; background: #d5e3ff; font-weight: bold; margin: 20px 10px;">在宅活動歴5年 ご家族の気持ちを聞いてあげて 私たちはせいぜい月1、2 回の訪問ですが、患者さんと毎日接しているご家族の、介護における苦労は相当なものだと思います。どこにもはけ口がなく、患者さんにつらく当たってしまうのかもしれません。そのような現場に遭遇したら、ぜひ、ご家族の気持ちを聞いてあげてください。どうして暴力や暴言に至ってしまったのか、ご家族との会話から何かヒントが得られるかもしれません。 患者さんとともに生活する全員を見ていくつもりで 在宅療養は、医療を中心にするのではなく生活を中心に考えます。生活の一部に医療があるだけです。 在宅訪問とは、他人の生活の一部に入れてもらうということ。患者さんだけでなく、患者さんが生活をともにする全員を見ていく気持ちが大事だと思います。介護者あっての患者さんです。 <div style=" border: 1px dashed #ddd; padding: 15px; background: #d5e3ff; font-weight: bold; margin: 20px 10px;"> 在宅活動歴13年 ご家族の関わりが薄いケースでは1人暮らしと見なして対応 一緒に暮らしているご家族が、患者さんと全くかかわりなく暮らしていることはよくあります。そのような場合、基本的に1人暮らしと見なし、家族の支援はないという前提で対応を行っていきます。 こうしたご家族は、患者さんの生活状況をみていないので、ヘルパーやデイサービス・訪問看護のスタッフから共有してもらう情報の方が、客観的で確実です。認認介護でも同じです。本人の言葉もご家族の言葉も、事実かどうかの判断がつきませんので、自分自身が見たり聞いたりしたことや確認できた事実だけが頼りになります。 ご家族による危害の危険性をケアマネに相談し施設入所へ 患者さんは穏やかな方だったのですが、精神疾患を持つご家族がいました。私も危害を受けそうになったのですが、なによりも同居の患者さんが危害を受ける心配があったので、ケアマネに相談しました。区役所の介護保険課に介入してもらい、その患者さんは保護を受け、施設に入所されました。 <div style=" border: 1px dashed #ddd; padding: 15px; background: #d5e3ff; font-weight: bold; margin: 20px 10px;">在宅活動歴7年 担当者会議で話し合う 薬剤師が困る事例には、他職種も困っているはずです。ケアマネに連絡して、担当者会議を開いて話し合ってみてください。各職種それぞれの情報は少なくても、持ち寄ることで患者さんとご家庭の状況が分かってくるでしょう。 <div style=" border: 1px dashed #ddd; padding: 15px; background: #d5e3ff; font-weight: bold; margin: 20px 10px;">在宅活動歴21年 他職種と情報の共有を 他職種の方々と連携をとり、情報を共有して解決していくことが重要です。