在宅活動を始めた、もしくは関心があるのだけれど、いざ実践となると、「唐突なハプニングに対応できる自信がない」という初心者の方もいるのでは。これから毎月、実際の活動で起こりえる落とし穴(ピットフォール)を事例に挙げ、その対応方法、解決策を探っていきます。 契約時にどんな質問をぶつけられるのか不安... 在宅活動を始めたいと意気込んではいるのですが、患者さんやご家族にいろいろと質問をぶつけられたら答えられるか不安です。契約時によくある質問や、ご家族からのご要望と対応を教えてください。 <div style=" border: 1px dashed #ddd; padding: 15px; background: #d5e3ff; font-weight: bold; margin: 20px 10px;">在宅活動歴5年 契約時に多い質問 訪問回数訪問日時連絡先処方箋の受け渡し方法料金の支払い方法薬の管理方法 など 訪問回数や処方箋の受け渡し方法についてはケアマネジャーや医師などの他職種との打ち合わせが必要になります。このように自己判断できないことや分からないことは即答せず、後日回答します。患者さんの疑問を契約時にすべて解決する必要はありません。まずは顔合わせ、くらいの気持ちで契約に望むとよいと思います。 <div style=" border: 1px dashed #ddd; padding: 15px; background: #d5e3ff; font-weight: bold; margin: 20px 10px;">在宅活動歴7年 シミュレーションしてみては 私たちの説明をどのような気持ちで聞かれるか、患者さんやご家族になったつもりでシミュレーションしてみるといいと思います。患者さんやご家族も、分からないことが多く不安なのではないでしょうか。私はよく一番初めに「お薬に関しての相談相手ができたと思ってください。」と言って、まずは安心してもらうようにしています。 よく尋ねられるのは「何かあった時には誰に連絡すればいいのでしょうか? 」という質問です。24 時間対応の契約をしている訪問看護師がいる場合には、緊急時は訪問看護師に連絡することが原則となっています。しかし、慌ててしまったり、様々な職種の支援者がいてわからなくなってしまうこともあります。私はよく上記の言葉とともに「誰に連絡しても、互いに連絡を取り合っていますから大丈夫ですよ」と言っています。 <div style=" border: 1px dashed #ddd; padding: 15px; background: #d5e3ff; font-weight: bold; margin: 20px 10px;">在宅活動歴13年 費用について聞く方が多い 費用の支払いが2 割負担になった方は、それまで約500円であった在宅訪問1回当たりの費用が1000円を超えるようになりました。費用について、患者さんやご家族が十分に納得した上で薬剤師を受け入れてくれるよう、説明をしっかりする必要があります。 薬剤師の在宅訪問は介護保険の支給限度額の対象外 介護保険では、介護度別にサービスの利用できる限度額(単位/点数の上限)が定められています。薬剤師の在宅訪問(居宅療養管理指導)は、介護保険の支給限度額の外枠の(点数を減らさない)サービスであるとお伝えすると、安心されることが多いです。点数ギリギリまで介護サービスを利用している方は、薬剤師が訪問することにより今までのサービスを減らさなければいけないのではないかと心配されるようです。 また、薬剤師の居宅療養管理指導に対する患者さんの自己負担額は医療控除の対象となります。お伝えすると喜ばれます。 <div style=" border: 1px dashed #ddd; padding: 15px; background: #d5e3ff; font-weight: bold; margin: 20px 10px;">在宅活動歴21年 薬剤師の方から質問を投げかけて患者さんの希望などを聞き出す 患者さんから質問されるというよりも、こちらから質問を投げかけています。質問する内容はある程度定まっています。例えば、訪問日時、処方箋の受け渡し方法、支払い方法、薬の管理方法(一包化/粉砕/ヒートのまま/カレンダー方式)、臨時の処方箋によって調剤を行った場合の対応方法、連絡方法などが挙げられます。患者さんやご家族の希望に沿えるよう、しっかりと話し合うべき項目です。 ケアマネ同席で話を進める契約時のトラブルはない 契約に関するトラブルはほとんど経験がありません。私の勤務先では、契約は薬局で行う場合が多く、ときにはケアマネも同席してもらって、患者さんやご家族と話をします。