神田橋條治がかかりたい「精神科医療」

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 日常生活で出会う医療は、本質としてサービスですし、それを行う人です。さらに、この領域は特殊でマイナーな世界ですから、これを生業として選ぶ人は、多少ともサービスの意向を天性として備えています。

 そうした天性を備えた人との出会いには、互いの相性があり、良い相性には癒しの作用があります。ですから、精神科医療や心理療法を探す際は、相性を指標に選ぶのが有用です。だけど、困っている人は「頼り」を求めていますから、相性を見定める余裕がなく、治療者の雰囲気にしがみ付いたり、考えに「洗脳」されて信じ込んでしまいがちです。まれに、自らの考えや態度に自信満々の治療者(?)があり、悩んでいる人を餌食にする例がありますが、その多くは非専門家です。

 本物の専門家は一面では、自身が「悩む」人、「自信のない」人で、それがゆえにこの領域を生業として選んだ人です。よく言えば「良心的」な人なのです。ここから、困った事態が生じます。

神田橋條治(かんだばし・じょうじ)

伊敷病院・精神科医

1937年、鹿児島県生まれ。1961年九州大学医学部卒業。1984年まで同大学医学部精神神経科、精神分析療法専攻。1971~72年に英・モーズレイ病院および英・タビストッククリニックに留学。1984年から伊敷病院に勤務。著書に『精神科診断面接のコツ』『精神療法面接のコツ』『心身養生のコツ』『「心身養生のコツ」補講50』『発想の航跡』『発想の航跡2』『「現場からの治療論」という物語』(いずれも岩崎学術出版社)、『治療のこころ1 ~ 28』『対話精神療法の初心者への手引き』(いずれも花クリニック神田橋研究会)、『ちばの集い1~7』(ちば心理教育研究所)、『ともにある1~5』(共著、木星舎)、『神田橋條治の精神科診察室』(共著、IAP出版)、『精神科における養生と薬物 対談』(共著、診療新社)、『神田橋條治精神科講義』『神田橋條治医学部講義』『治療のための精神分析ノート』『神田橋條治が教える 心身養生のための経絡・ツボ療法』(いずれも創元社) 他多数。

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