染色体がXYなのに女性!?どういうことか

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こんにちは、プライベートケアクリニック東京の小堀善友と申します。もともとは一般泌尿器科の専門医でしたが、現在は性感染症、男性不妊症、性機能障害を専門とする都内のクリニックに勤務しています。専門性の高いクリニックだけあって、一般の病院ではお目にかからないような珍しい症例をよく目にします。先生方の学びにつながるような症例を、定期的に紹介します。

 先日開催された2024年パリオリンピックの女子ボクシングで、XY染色体(男性の染色体)を持つ2人の選手が出場したニュースを記憶されている方も多くいらっしゃるかと思います。

 その選手とは、女子66キロ級のイマネ・ヘリフ選手(アルジェリア)と女子57キロ級のリン・ユーチン選手(台湾)です。2人が金メダルを獲得したことでさらに話題になりました。

 そもそも、染色体がXYなのに女性、とはどういうことなのでしょうか?

 一般社会では誤解があるようですが、両選手はトランスジェンダーや性同一性障害ではありません。体の表現型が女性型なのです。つまり外性器に陰茎はなくて、腟が存在します。また、一般女性のように乳房が肥大します。しかし、腹腔内には卵巣や子宮がなく、性腺としては精巣が存在しているはずです。

 なんでそんなことが起こるかというと、アンドロゲン受容体に問題がある、アンドロゲン不応症(Androgen insensitivity syndrome;AIS)という疾患だからです。ですので、染色体がXYなのに女性なのです。

小堀 善友 (こぼり よしとも)

プライベートケアクリニック東京 東京院院長。2001年、金沢大学医学部卒業。金沢大学泌尿器科、米・イリノイ大学シカゴ校泌尿器科、獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科准教授を経て、2021年より現職。日本泌尿器科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、日本性機能学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性科学会セックス・セラピスト。著書に『オトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『今日の診断指針第8版「男子性発育の異常」』(医学書院)など。

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