【私が選んだ医学2024年の3大ニュース】 1. 働き方改革元年 2024年4月1日、勤務医に対して時間外および休日における労働時間の上限規制が適用された。同時に、連続勤務時間の制限や長時間勤務に対する指導など、勤務医の健康を守るための新ルールが導入された。本格的な施行に至るまで一定の移行期間があったものの、三次救急対応の大学病院を中心として、非常に厳しい運営を迫られている。 医療界の外の規制をそのまま適用するのは所詮無理筋であり、今回の改革では年間の時間外労働時間の上限が960時間または1,860時間という分かりにくい二重規制となっている。また、現場は少数かつ短時間で実務をこなす必要があるため、規制開始以前と同等の医療サービスを提供することは難しい。そこで、医師以外の医療従事者へのタスクシフト/シェアに加え、口頭での説明を書類に置き換える、ICT機器を導入する、休日の病状説明を取りやめる、緊急手術対応をオンコールとするなど、さまざまな工夫が開始されている。 医師の健康を守ることは非常に重要ではあるが、自発的な研究活動を「労働」とするか基準が曖昧であり、医学研究が質・量ともにさらに低下しないか危惧される。