【2025年経済はこうなる】ちゅり男

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【私が選んだ経済2024年の3大ニュース】

1. 新NISA元年は投資に絶好の幕開けに

 投資に興味が深い人はご存じだと思いますが、2024年1月から新NISA(少額投資非課税制度)が始まりました。通常、株式投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座内であれば利益にかかる税金がゼロになるのが最大のメリットです。

 従来のNISAに対し、新NISAでは非課税で運用できる期間が恒久化し、非課税で運用できる金額が生涯1,800万円と大幅に拡大。さらに、つみたて投資枠と成長投資枠が併用可能になるなど大きく改善され、私たち投資家にとって大変使いやすい制度になりました()。

表. 新NISAの概要

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金融庁NISA特設サイトより

 新NISAで人気を集めているのが、全世界株や米国株に投資できるインデックスファンドです。インデックスファンドというのは、個別株式と異なり、日経平均やダウ平均などの株価指数や債券指数などに連動した成果を目指す投資信託を指します。世界経済が成長し続ければ、株価指数も長期では右肩上がりの成長が期待できるので、リスクを抑えながら投資したい人に最適な方法です。

 新NISAで選ばれている金融商品のランキングで1位、2位の座を守り続けているのが、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」です。商品名のとおり、全世界株式や米国株式に丸ごと投資できる商品で、1つの商品だけで数百〜数千もの銘柄に分散投資できる安定感が評価されています。この2つは手数料も大変安く、長期投資に最適の商品です。私自身も発売直後から5年以上保有しており、特に2024年は相場が好調だったので大きな利益をあげることができました。

2. 日経平均が一時4万円を突破! 8月には大暴落も

 新NISA開始で投資熱が高まったことや、円安進行が日本株にとって追い風になったこともあり、2024年2月には日経平均がバブル崩壊前の最高値3万8,915円を更新しました。7月11日に4万2,224円のピークを記録した後、8月5日には1日でマイナス4,451円という史上最大幅の暴落となり、夏場は乱高下の激しい相場となりました(図1)。

図1. 2024年の日経平均株価の推移

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Google Financeより)

 このように、短期的に暴落することはありましたが、1年を通じて見れば日本株は概ね好調でした。日経平均は年始時点で3万3,288円、12月現在は3万9,500円前後で推移しており、1年で約20%上昇しましたので、長期投資家の多くは利益があげられる恵まれた相場だったといえるでしょう。

 2024年の相場から学ぶべき大事な教訓は以下の2点です。

  1. 相場の変動は予測できず、短期的な値上がり益を狙った投資はリスクが高い
  2. 長期的な企業価値、株価や配当の成長を狙ってじっくり投資に取り組むべき

「相場は水物」といわれるとおり、株式市場は短期的には値動きが激しく、プロであっても株価を正確に予測することはできません。一方、きちんと経営された優良企業であれば、長期的には企業価値が向上していく可能性が高く、業績向上とともに株価や配当アップが期待できます。

 たった1つや2つの銘柄に自分の全財産を投資するといった博打に近い方法ではなく、幅広い国や地域、業種に分散投資を心がけ、一度買ったら10年は売らないくらいの気持ちで相場に臨むことが重要です。

3. トランプ氏が米国大統領再選!共和党の「トリプルレッド」に

 2024年11月の米国大統領選挙で、共和党のドナルド・トランプ氏が勝利しました。大統領職だけでなく、上院、下院ともに共和党が多数派を占める「トリプルレッド」となり、トランプ大統領の掲げる政策が実現しやすい環境が整いました。

 トランプ次期大統領の経済政策は、減税や規制緩和に重点を置き、基本的に共和党の伝統である「小さな政府」を志向するものです。トランプ氏の掲げる経済政策はインフレが加速する懸念があるものの、米国株にとっては追い風になる期待が高く、S&P500やNASDAQ100などの米国の主要な株価指数は史上最高値を更新し続けています

 また、トランプ氏が「アメリカをビットコイン超大国にする」と宣言した影響で、ビットコインなどの暗号資産への期待が高まり、11月から12月にかけて価格が急騰しました(図2)。

図2. ドル/ビットコイン価格の推移

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Google Financeより)

 2024年12月には1ビットコインの価格が10万ドルを超え、過去1年で2.5倍以上になったことになります。

 ビットコインは円やドルなどの法定通貨と異なり、中央銀行などの発行元が存在しないデジタル通貨です。ブロックチェーンと呼ばれる技術で取引の安全性や透明性が保証されており、発行上限が2,100万枚に制限されているのが大きな特徴です。発行上限が決まっていることによって、年月を経るにつれてビットコインの希少性は高まる仕組みになっています。

 ビットコインの価格は株式と比較しても変動が激しいですが、ビットコインが欲しい人が今後も増え続ければ価格はおのずと上昇しますので、長期目線で投資するとよいでしょう。

2025年経済はこうなる

 1990年代初めのバブル崩壊後、日本経済は長期にわたって低迷し、「失われた30年」と呼ばれています。不況の影響で物価が上がらないデフレ状態が長く続いていましたが、2020年以降は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によるサプライチェーンの破綻、ロシアのウクライナ侵攻などの影響もあり私たち日本人をめぐる経済状況もかなり変わってきています。

 日本国内でも食品や生活用品、ガソリンなどの燃料費は毎月のように値上がりが続き、急激なインフレが私たちの家計を直撃しています。また、急激に円安が進み、今では「1ドル=150円」が当たり前の時代になりました。以前と比べて日本人が海外旅行に行くのは難しくなり、円安は日本人の購買力低下に拍車をかけています。

 実は、インフレや円安に最も脆弱なのは私たち日本人が大好きな「預貯金」です。デフレ下では預貯金の価値は下がりませんが、インフレ下では銀行に預けてあるお金の実質的な価値は年々減ってしまいます。この状況を打開するためには、家計資産の一部でインフレに勝てる資産を持つことが重要です。

 世の中には、現金以外に株式、債券、不動産、金などさまざまな資産がありますが、その中で長期投資の王道は「株式」です。世界の株式市場にはたびたび暴落が訪れますが、年月の経過とともに相場は必ず回復し、長期的には力強く成長し続けています。株式市場は過去200年以上にわたって、インフレ率を上回るリターンをあげ続けてきました。

 「投資はリスクがあって怖い」というイメージをお持ちの方も多いと思います。ところが、実際には「自分の資産の100%が預貯金」というのもリスクが高いのです。幸い、2024年から始まった新NISAは、私たち個人投資家が老後の不安を解消するための資産を築くのに最適な制度になっています。投資を怖がるだけでなく、無理のない範囲で投資に取り組んで自分の生活の一部にしてしまうことが重要です。

 投資は余剰資金で行うことが原則ですが、手持ちのお金に余裕がある方は、新NISAで人気のある全世界株や米国株インデックスファンドから始めてみることをおすすめします。また、投資を始めてもすぐにやめてしまう人が多いですが、長く続けなければ大きなリターンは得られません。新NISAを使ってインデックス投資するなら、20〜30年は続けるつもりで取り組みましょう

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