心血管「低リスク」なら「DPP-4阻害薬」浮上 SGLT2阻害薬、GLP-1RAとの比較研究 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。7月14~20日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「糖尿病治療薬の選択」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。 心血管保護エビデンスは高リスク例で示されたもの SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)は、心血管(CV)保護作用が証明された血糖降下薬だと認識されている。 しかし、その根拠となるランダム化比較試験(RCT)の対象はいずれも、心血管疾患(CVD)既往例、またはそれらと同等近くまでCVリスクの上昇した2型糖尿病である〔否定的なエビデンスも存在する。DECLARE-TIMI試験では、CV高リスク2型糖尿病例を対象としながらも、主要評価項目の1つである主要心血管イベント(MACE)リスクに、プラセボ群とSGLT2阻害薬群で有意差はなかった(N Engl J Med 2019; 380: 347-357)。VERTIS CV試験でも同様に、SGLT2阻害薬とプラセボでMACEリスクに有意差は示されていない (N Engl J Med 2020; 383:1425-1435)〕。 このように、SGLT2阻害薬やGLP-1RAのCV保護エビデンスはCV高リスク例に限られる。よりCVリスクの低い2型糖尿病例に対するCV保護作用は必ずしも明らかではない(CV低リスク2型糖尿病例対象のRCT GRADEの副次的解析では、GLP-1RAで他血糖降下薬に比べCVイベントリスクの有意な低下が観察されたが、同試験にCVイベントリスクを検討できるだけの検出力はない(N Engl J Med 2022; 387: 1075-1088)。 DPP-4阻害薬も同様である。CVD既往例やCV高リスク2型糖尿病例を対象としたRCTでは、プラセボを上回るCVイベント抑制作用を証明できなかった。しかし、CV低リスク2型糖尿病例におけるデータは不明である。 そのような観点から興味深い報告が7月17日、J Am Heart Assocに掲載された。米国実臨床データを用いて服用開始時のCVイベントリスク高低別に、GLP-1RAとSGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬、SU薬という4つの薬剤のCVイベント抑制作用を比較した解析である。報告したのは、米・Mayo ClinicのYihong Deng氏ら。 CVイベント抑制を考慮しても、SGLT2阻害薬やGLP-1RAではなくDPP-4阻害薬を用いうる患者群が存在する可能性もありそうだ。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×