近年、日本ではセルフメディケーションの推進を背景に、一般用医薬品(OTC薬、以下、市販薬)と成分や効果が似ている処方箋医薬品いわゆるOTC類似薬の保険適用外しが議論されるなど、市販薬の利用促進が図られている。セルフメディケーションをめぐっては、医療費削減や患者の時間短縮などが期待される半面、不適正使用による健康被害が懸念されている。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長/薬物依存症センターセンター長の松本俊彦氏は「10歳代の患児において、過量服薬(オーバードーズ、OD)など薬物乱用事例の7割超で市販薬が用いられている。ODはリストカットなどの自傷と自殺の中間にある行動と考えられる」と指摘し、薬物乱用/依存の観点から市販薬の不適正使用の実態について解説した。(関連記事:「オーバードーズ防止に向け、小中高生向けの周知資材を作成」)※第128回日本小児科学会の講演を基に構成