リズムコントロール成否の鍵握る「AF負荷」

「推算値」で臨床応用のハードル低下の期待も

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ
〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。9月1~7日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「リズムコントロールの有効性」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。

新たなCV危険因子として注目される「AF負荷」

 2020年に報告されたランダム化比較試験(RCT)EAST-AFNET 4では、脳卒中高リスク心房細動(AF)例に対する早期「リズムコントロール」開始の有効性が証明された(N Engl J Med 2020; 383: 1305-1316)。

 すなわち、AF診断後1年以内のリズムコントロール「追加」により、「非追加」に比べ心血管(CV)イベントのハザード比(HR)は0.79の有意低値となっていた(95%CI 0.66~0.94、治療必要数 91/年 )。AF例へのリズムコントロールによるCV転帰改善を示した、初のRCTである。

 ではなぜ、リズムコントロール群でCVイベントが減少したのか―。9月1日、eClinMedに掲載されたEAST-AFNET 4試験の追加解析からは、「AF burden」(AF負荷:AF持続時間の総和/心電計評価時間)軽減が機序の1つである可能性が示された。著者は、オランダ・マストリヒト大学のStef Zeemering氏ら。

 「AF負荷」は近年、その上昇に伴い脳卒中や心不全リスクが上昇するため、AF例の新たなCV危険因子として注目されている(Chin Med J 2023; 136: 2668-2676)。

 米国の心房細動ガイドラインは2023年版の時点で既に、AF負荷軽減を目指した早期からのリズムコントロールの重要性を強調していた(Circulation 2024; 149: e1-156)。

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする