〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。9月29日~10月5日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「炎症と動脈硬化」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。 ACCが「抗炎症介入」を初推奨 9月29日、米国心臓病学会(ACC)は「炎症と心血管疾患(CVD)」と題する学術見解を公表し(J Am Coll Cardiol 2025: S0735-1097)、「CVD一次(初発)、二次(再発)予防例を問わないルーチンな高感度C反応性蛋白質(hsCRP)測定」と「炎症リスクを有する動脈硬化性CVD(ASCVD)例に対する抗炎症介入」を初めて推奨した(後出)。 「炎症」亢進の危険因子としてはこれまで、「肥満」(Obes Rev 2013; 14: 232-244)、「喫煙」(Chest 2007; 131(5): 1557-1566)などが報告されている。ではどの因子が、炎症リスクとしてより大きいのだろうか―。 この点を明らかにした研究が10月1日、Eur J Prev Cardiolに掲載された。著者は英・Imperial College LondonのKausik K. Ray氏ら。英米の2コホート、2万6,000例超を解析した結果である。 「肥満」が「炎症」に及ぼす影響は、思った以上に大きい可能性がある。しかし、抗肥満薬による炎症抑制が臨床イベント抑制につながるか、この点はさらなる検討が必要なようだ。