第39回日本乾癬学会では、乾癬治療の主流である外用療法に加え、重症乾癬患者に使用される生物学的製剤の使用状況が注目されました。尋常性乾癬の治療実態調査や、皮疹が限局する患者への全身療法導入に関するコンセンサスステートメントについて取材しました。 尋常性乾癬治療、いまだステロイド外用が最多 尋常性乾癬に対する生物学的製剤や非ステロイド性外用薬、配合剤などさまざまな治療薬が登場したことで、治療の選択肢が広がっている。では、実臨床における治療実態にも変化はあるのか。医療法人社団廣仁会理事長で札幌皮膚科クリニック(札幌市)院長の安部正敏氏は第39回日本乾癬学会(8月24~25日)で、開業医診療情報データベースを用いて実臨床下における尋常性乾癬患者の治療実態を検討した結果を発表。治療薬ではいまだステロイド外用薬の処方が最多であった一方、皮膚科を標榜する施設では新たな剤形を組み入れた治療選択が行われている実態が明らかになったと報告した。... 尋常性乾癬における全身療法導入の定義を作成 日本には尋常性乾癬の診療ガイドラインがなく、皮疹が限局する患者に全身療法を導入する基準についてのコンセンサスは得られていない。しかし、皮疹が限局する尋常性乾癬は病変部位によっては、QOLに大きな影響を及ぼすことがある。そこで名古屋市立大学皮膚科教授の森田明理氏らは、皮疹が限局する〔Body Surface Area(BSA)10%未満〕尋常性乾癬における全身療法適応および局所療法効果不十分の定義についてコンセンサスステートメントを作成し、第39回日本乾癬学会(8月24~25日)で発表した。... 尋常性乾癬へのBio、9割超が「満足」 尋常性乾癬の治療をめぐっては、近年10種類を超える生物学的製剤(Bio)が相次いで登場したことで、多くの患者が寛解状態を維持できるようになった。医学的には高い効果が期待されるBioについて、患者自身はどのように捉えているのか―。自治医科大学皮膚科学講座准教授の神谷浩二氏らは、Bioで6カ月以上寛解状態を維持している尋常性乾癬患者を対象にアンケートを実施し、第39回日本乾癬学会(8月24~25日)で結果を発表。患者の9割超が「治療に満足している」と回答した一方、寛解後は3割弱が「治療をやめたい」と考えていることが明らかになった。... 2024年開催学会レポート一覧に戻る