福島で開催された第31回日本排尿機能学会。会場では東日本大震災および原発事故からの復興を伝えるパネルが展示されるなど、学術的な発表以外でも注目される学会となりました。排尿機能に関する企画については、高齢社会に伴い増加しているさまざまな課題について議論が交わされました。約20年ぶりに実施された全国疫学調査の詳細な結果やビベグロン投与が女性の精神症状に与える影響を検討した発表などを取材しました。 腹圧性尿失禁、20歳代でも有病率10% 福岡大学腎泌尿器外科学講座主任教授/診療部長の羽賀宣博氏は、日本排尿機能学会が昨年(2023年)実施した下部尿路症状に関する疫学調査(JaCS 2023、Int J Urol 2024; 31: 747-754)のデータを用い、日本における腹圧性尿失禁の有病率と発症要因を検討。その結果、有病率は20歳代でも男女ともに約10%だったと第31回日本排尿機能学会(9月5~7日)で発表した。... 過活動膀胱、ビベグロンで精神症状改善 女性の下部尿路症状と精神症状の関連は古くから指摘されており、過活動膀胱(OAB)においても重要な課題である。杏林大学泌尿器科講師の金城真実氏は、未治療の閉経後女性OAB患者におけるβ3受容体作動薬ビベグロンの精神症状への影響について検討。ビベグロン投与によりOAB症状、精神症状ともに有意な改善を認めたと第31回日本排尿機能学会(9月5~7日)で発表した。... 過活動膀胱の受診率は16%、啓発推進を 過活動膀胱(OAB)を含む下部尿路症状(LUTS)の有病率は、加齢とともに上昇するとされ、高齢社会の日本において患者への介入は重要な課題となる。日本排尿機能学会は、日本における人口構造の変化などを踏まえ、LUTSに関する疫学調査(JaCS 2023)を約20年ぶりに実施(Int J Urol 2024; 31: 747-754)。山梨大学大学院教授/山梨大学病院泌尿器科診療科長の三井貴彦氏は、OABに関する調査結果について第31回日本排尿機能学会(9月5~7日)で発表し、「OABの有病率は年齢とともに上昇するのに対し、受診率は16%と依然として低い」と指摘し、啓発活動の重要性を訴えた。... 2024年開催学会レポート一覧に戻る