血圧管理を目的とした生活習慣の改善方法や注目される新薬の実際の効果、学会が発表した日本人のための尿ナトリウム/カリウム比の評価・活用法、高血圧ガイドラインをめぐる最新の動向などを取材しました。 高血圧管理診療GL2025「生活習慣の修正」を先取り 日本高血圧学会(JSH)の『高血圧治療ガイドライン2019』(JSH2019)は来年(2025年)、『高血圧管理診療ガイドライン2025』(JSH2025)として刊行されることが決まっており、改訂作業が進められている。第46回同学会(10月12~14日)ではJSH2025の基本方針や変更予定項目を解説するシンポジウムが行われ、国立病院機構九州医療センター臨床検査部長の荒川仁香氏が「生活習慣の修正」の章について概説。尿ナトカリ比、レジスタンス運動、スマートフォンアプリに関する記載が追加される予定だという。... 降圧治療、ARNIを第一選択薬とすべき? 国内で唯一使用可能なアンジオテンシンⅡ受容体・ネプリライシン阻害薬(ARNI)であるサクビトリルバルサルタン(Sac/Val、商品名エンレスト錠)は、日本では2020年に心不全治療薬として承認後、2021年には高血圧への適応が拡大されたが、積極的な適応がない場合の高血圧治療の第一選択薬としては推奨されていない。第46回日本高血圧学会(10月12~14日)のディベートセッションでは、「積極的適応がない場合の高血圧に対する降圧治療の第一選択薬になりうる」に賛成の立場という設定で石切生喜病院(大阪府)副院長/循環器内科の堀尾武史氏が発表。... 尿ナトカリ比の目標値で高血圧学会が声明 日本高血圧学会は10月8日、血圧との関連が認められる尿ナトリウム/カリウム比(尿ナトカリ比)に関するコンセンサスステートメントを発表し、健常日本人における目標値と適切な評価法を提唱した。第46回日本高血圧学会(10月12~14日)では、同ステートメントに関するシンポジウムが設けられ、日本人における尿ナトカリ比の目標値、適切な評価法、活用法などについて、岡山大学公衆衛生学分野准教授/同学会尿ナトカリ比ワーキンググループ委員の久松隆史氏が解説した。... シェイプアップ外来で肥満改善! 生活習慣から肥満症を発症して高血圧を含むメタボリックシンドローム(MetS)となり、心血管イベントに至るメタボリックドミノという概念が提唱されて久しい。すぎはら眼科内科(岡山県)院長の杉原雄策氏は、メタボリックドミノにおけるMetSの上流に位置する生活習慣や肥満症の改善は実地医家にとって重要であるとの考えから、2023年4月にシェイプアップ外来を開設した。同外来における食事療法、運動療法、薬物療法などの手順および患者97例の減量効果について第46回日本高血圧学会(10月12~14日)で発表した。... 2024年開催学会レポート一覧に戻る